詐欺師の恋






数日後。






「え?ミサキちゃんの兄貴が来たの??」





俺が居ない時に、ミサキの兄がクラブに乗り込んできたことを知った。




金を払う事無く走って受付を通りぬけ、慌てて押さえ込んだ時にはカウンターに行き着いて、燈真に喚いていたらしい。





『レイって男を出せ!!!!人殺しの詐欺師を出せよ!!!!』





その時の様子を思い出しながら、燈真が笑う。




「零ももっと気を付けてくれないと、いつか刺されるよねぇ。」



「・・・・」




俺は黙って、ミサキ兄の言った言葉を頭の中で反芻していた。




-人殺し???




嫌な、予感がした。



ミサキの身に、何か起こったのではないか。



ガタ、と音を立てて立ち上がった俺を、燈真が冷たい目で見つめる。





「下手に動くなよ。お前はカンケーない。」




「っ……」




少しの間、視線は交わっていたが、耐え切れずに俺から逸らした。





「……わかってるよ。」






再び、力なく腰を下ろした。




けど、俺は情報屋で。



自分が行かなくたって、色んなところから勝手に情報が寄ってくる。




だから。






直ぐに、ミサキが交通事故で逝ったことを知った。






大型のトラックに撥ねられて、即死だったそうだ。