詐欺師の恋

俺は、煙草が苦手で。



付き合いで、ふかすくらいならできるけど、好き好んで吸おうとは思わない。



それだったら、酒が良い。



現に、ほとんど吸わない。



けど、それを誰かに言ったこともない。




空生とはあれから吸う機会はないけど、燈真だって気付いていないと思うのに。



―最初からバレてたのかよ。かっこ悪。



がっくりと一人、項垂れる。



空生はいつも、人の感情の動きに敏感だ。



だから、わかる。



だから、傷つける度に、自分が痛い思いをしている。



せめて、麻痺してしまえばいいものを。




「お前は本当に、ひどい男だよ」



はは、と自嘲気味に笑いながら、呟いた。







「ミサキちゃんは、俺じゃなくてお前が好きだったんだっつーの。」





空生が、俺のことなんかを考えてくれても。



俺はミサキのことを追ったりなんかしねぇよ。




折角零との恋が散ったんだったら、あの子は元に戻らないと。





家で、家族が待ってる。



もう、こんな所に迷いこんじゃいけない。




あの子の居場所は、ここじゃない。