詐欺師の恋

「…そっか。でも、ヨカッタね?」



この先、どうなるかわからないし。



希望も何もないのを、俺は知っているけど。



とりあえず、祝福の言葉を疑問系にして言えば。




「……はい。」




少しはにかんで、彼女は笑う。



こうやって、零に溺れていった女を、俺はもう何度も見ている。


そのどれも、報われないまま。満たされることもないまま。短い今だけを楽しむ。



その度に、零が傷ついていることも、知っている。





悪循環。



わかっているけど、俺だって、その中の一人だ。




何が正しいか、なんて、人間はいつだってわかっている。



正邪の判断を正しく教えてもらった人間なら尚更だ。





でもそのライン上には誰も乗ることが出来ない。




ハッピーエンドなんて、お伽話の中だけの話だ。




この世界のどこにも、そんなもの、存在しない。






だから、俺も笑うよ。



成す術がないから、へらへらと笑う。




せめて、苦しそうには見えないように。