詐欺師の恋

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空生と、ミサキが、一緒に居るのをよく見かけるようになったのは、それから直ぐのことだった。



零がステージに立つ時、ミサキはいつもと変わらずに、それをじっと見つめる。



俺はそれを、後ろからまた見つめる。

ミサキが居ない時には、俺の隣にはいつも女が居る。


別に楽しいから、それで良かった。






「零が手に入って、嬉しい?」




ミサキが燈真にカクテルを注文した際に、俺はなんともなしに訊ねてみた。




「え?」



ミサキは驚いたように、俺を見て、頬をぼっと赤くさせる。


そんな彼女を、俺はじっと見つめた。




「零が手に入って、嬉しい?って訊いたの。」



「手に入ったなんて…モノじゃないんだから…。」



ミサキは困ったように視線を彷徨わせ、茶色い髪の先を弄(いじ)りだす。




「それに、まだ、返事もらえてないし…」




空生のことだから、本業のことは上手いこと隠し果せているのだろう。


これだけ骨抜きなんだから、どうとだってなる筈だった。