詐欺師の恋



「崇は?」



「中行ったよ。バーカウンター。」



空生が足をそちらに向けたので、その隣を燈真は歩く。



「オヤジさんとこ、行ってんの?」



「・・・」



燈真の質問に、空生は無言で答える。



「1回位帰ってやったらいいのに。折角養子入ってんのに、施設に住んでるなんてさ。」



「…それ、燈真に関係ある?」



「あ、何?怒った?」



「・・・」



茶化すように言えば、少年は黙る。



怒りを露わにしたり、反対に笑ったりすることを、空生は避ける。



表情が著しく乏しかった。


彼にとって世界はいつでも、色褪せた場所のようだった。