詐欺師の恋


「ねぇねぇねぇねぇってばぁー」




「ちょっと、静かにしててくださいっ」





零に夢中なミサキは俺のことなんてちっとも見ようとしない。








そこに―。






「―美咲」






どこからか声が降ってきて、反射的に顔を上げると。





黒髪、黒縁眼鏡の、中肉中背の男がミサキのことを見つめ、すぐ傍に立っていた。






―なんだ、この男。





不愉快だという思いを前面に出して、睨みつけるが、男の視線は俺のことなんて通り越して、ミサキに向いている。


だが。


そんな男に、迷惑そうにチラリと目をやったミサキが、とんでもないことを口走った。





「おにい、、、ちゃん…どうして…」




は?え?




「え?!お兄ちゃん?ミサキちゃんのお兄ちゃん!?」




ミサキの目も十分丸くなっているが、俺の目だって負けないくらい丸くなっている筈だ。




何、それ。


なんでそんなのがここにいんの。



これ、なんかのギャグなわけ?