詐欺師の恋


「でも、ニワトリなんて呼ばれなくなりますよ!」



「茶色なんて地味の代表じゃん!…でも、ミサキちゃんが零をやめて俺にするっていうなら、考えてもいいよー!」




真っ直ぐで。





「別に良いです、赤で。」





中々、落ちない。




「ツレないねぇ。」





俺の手には、落っこってこない。




そんなにガチだと、いや、ガチじゃなくても、空生は絶対に手に入らないのに。






「私は、零さんだけですから!」





そしてまた、プイと視線をステージに向ける。



背中を、俺に向ける。




俺がいつも見てるのは、後ろ姿。






短い髪の、襟足が、うなじに掛かって。




背筋はピンと。




地味な茶色い髪色なのに。




何故か、目に焼きつくんだ。




なんでかな。




際立って何かあるわけじゃ、ない子なんだけどな。




それを横目に、俺は青い瓶を呷る。






自分の中に、ほんの少しだけ芽生えた何かに、気付かないフリをして。




少しでも良いから、酔って、頭をぼんやりとさせたいと、願って。