詐欺師の恋


「っとに、かわいくねぇーな、お前の妹。」



相変わらずの言われように、俺がカウンターに肘を付いて頭を抱えると、隣からくすくすと笑い声がして。



声の主を探せば、ミサキがこっちを見て笑っていた。




「ミサキちゃんも意地悪だなぁー、そんなにウケることないでしょ。」




頬を膨らませて抗議するが、ミサキは頬にかかるくらいの髪を震わせる。




「だって、ニワトリ…」



「あいつくらいなもんだよ、俺の頭をニワトリ呼ばわりするのは。」



零の出番は、まだだ。



それでも、ミサキは大人しく座って、ステージをじっと見つめている。



気紛れで出てこようが出てこまいが、空生の出番は零時、と決まっているのに。




だから、こうして、ミサキとクラブで言葉を交わす事は、滅多にない。



けど、たまに話せば、俺等に隔たりなんてものも、ない。




「なんで、赤なんですか。」



口元を手で押さえながら、ミサキが俺に訊ねるから。



「目立ちたかったから。」



俺もそのまんま、答えた。




「それなら、別の色でも良かったんじゃないですか。」





「そうだけど、でも赤が良いの!」




「ちょっと薄いブラウンとか、似合いそうなのに。」



「やだよ、そんなんじゃ地味でしょ。」





ミサキは、ショートだけど、清楚なお嬢様って感じで。