詐欺師の恋






「お前、親父さんとこには―」



零に養父の話は滅多にしなかったが、久しぶりにこっちに帰って来たんだったらさすがに会いにいってやったのかと思い、訊ねかけた、その時だった。




「なぁなぁ!俺の話はまだ終わっちゃいないんだけど!」



「そうだよぉ、ちゃんと人の話は聞かなくちゃねぇ!」



「っ、放してくださいっ!」





前方から、何やら騒々しい声が聞こえてきた。



見ると、道路脇に黒い集団が固まっていて。


それに、女二人が囲まれている。



別に珍しい光景でもないので、俺はてっきり空生も通り過ぎるものかと思っていたのだが。





「-あいつ・・・」




立ち止まった空生の呟きを聞いて、歩き出そうとしていた足を、止めた。




「何?知り合い?」




「・・・・・・」






無言で向けられた視線の先を、俺も辿る。



どうやら、空生が見ているのは、この集団のリーダー格の金髪の男のことだろうと思う。



一番偉そうに物事の成り行きを傍観している。