「でもしょっぱなからすっぽかしはナシっしょ。」
以前から零の気紛れライブは恒例の事だったのだが、はっきりと周囲に告知できない為、ルナのスタッフ達は頭を悩ませている。
予定に組み込み、イベントにできれば、毎回満員御礼になる筈なのに、確定ではないというのが辛いらしい。
今回帰って来ることを知った燈真も、早々にオファーを出したのに、予定を大幅にズレさせて、こんなギリギリに帰って来た空生に苦言を呈していた。
その上、予想通りというか、恐れていた展開で、約束の時間になっても空生が現れない。
そこで、俺がもしかしたらといつぞやの歩道橋にまで足を運んだというわけだ。
空生がこの街に居た時の、お気に入りの場所だという事を知っていたからだ。
「勿論、おおっぴらにはしてないからさ、万が一空生が来なかった場合でも大丈夫っつったら、大丈夫なんだけどさ。どこで聞きつけたんだか、ファンの子は結構集まってるんだよね。」
「…めんどくさ。」
繁華街を歩いてルナに向かっていると、客引きの女共さえ、空生を見てあっと息を呑む。
人との、特に女との接触をひどく嫌う空生は眉間に皺を寄せながら、二重に嫌だという顔をしている。


