詐欺師の恋

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髪を赤く染めるのを、やめたのは、いつだったっけか。



俺には美容師をやっている昔からのダチが居て、夜中に結構呼び出すことが多いけど、嫌な顔ひとつせずに、いつも髪をいじってくれる。



空生が『本業』に手を着けてから、5年は経っていた頃か。いや、倍は経ってたか。時間の流れは俺の中でいつも曖昧だ。


役柄で染めたり戻したりを繰り返す空生の仕事にも、勿論このダチは大きく貢献していた。


自分で店もやっているから、閉店後にそこでカラーリングやカットをしてもらうこともしばしば。



けど空生は、ひとつの場所に留まることを嫌い、いつもこの街に居るわけじゃなかった。



DJとしても活躍していた空生は、一旦いなくなると、とことん帰ってこない。


それでも、動向は燈真が把握していたから、元気でやっているんだろうなということはわかった。




そして、あの日。



日がすっかり短くなった、冬の季節。



ふらりと空生が、この街に帰って来たことを知った。