「じゃ、ウチでDJやったら?」
口をついて出た提案に、空生はぎょっとした顔をして振り返る。
―お、今までで一番判り易い表情してるな。
「―は?」
一呼吸置いて出た戸惑いの声に、俺は笑みを隠さなかった。
「いや、マジでプロになれ、とかはいわねーよ。だけどま、DJやってりゃ曲がゆっくり聴けんじゃねぇの?自分で回すんだし。そしたら、やたら手出したり声掛けたりする連中も居なくなって、ウチも平和になるしさ。」
咄嗟に出た案だった。
後先なんて、考えてない。
「そんなの…俺やったこと…」
「早い時間に来て触らせてもらえよ。ウチのDJ達が教えてくれるぜ。」
動揺を隠し切れない少年に、俺は親指を立ててポーズを決めて見せた。
後になって、俺のこのいい加減な提案は、燈真にこっぴどく叱られることになるわけだけど、営業時間外だったら、機材に触ることはどうにか許可してもらえて、空生はルナに頻繁に顔を出すようになった。
それが、空生の才能を発掘することに繋がって、ルナでの零時が空生の時間になるのは、もう少し後の話。


