詐欺師の恋

「―ルナ、好きか?」



暫く無言で見つめ合った後、出てきた言葉が、これだった。



空生は答えず、代わりに訝しげな視線を投げかけてくる。




「俺、ルナのオーナーと知り合いでさ、一応クラブの安全を守る任務もあるワケ。けどさ、お前目立つんだよ。目付けられたりいちゃもんつけられたりしてんだろ。」




そこまで言うと、空生は目を伏せた。



思い当たる節があるようだった。




「なんで、ルナに来るようになったんだよ?」




俺は身体を起こし、煙草の吸殻を足元に投げ捨て、踵で踏みつける。




「来るなって事?」




空生は視線を俺から外したまま、質問に質問で返した。




「ちげぇよ。お前酒飲んでるだけで、何もしねぇじゃん。何でルナに来んの?酒飲むだけなら他にもあるだろ。」




「―音楽聴いてる。」




空生は短くそう答えて、煙草を手摺に押し付ける。




「いつも邪魔が入って、聴けないけど。」




続いた言葉は、独り言みたいな小さな呟きだった。