詐欺師の恋

「…俺の事、よく覚えてたねぇ。」




にやりと笑いかけると、空生は目にかかる前髪を、煙草を持つ手で軽く避けた。




「……髪が、赤かったから。」



言われて成程と思った。これだけ赤ければ、嫌でも目に入るわけだ。あの時目が合ったと感じたのは、気のせいじゃなかったらしい。




「未成年の、摘発?」




色素の薄い、茶色い視線を投げかけられ、俺はまさか、と笑った。




「んな暇じゃねぇって。」



「じゃ、何。」




少し砕けたように思えた空気が、再び固まる。



空生の目は警戒しているように見える。


どうでもいいと思っているようにも、見えるが。



生温い風がひゅるりと吹いて、二人の煙を悪戯に絡ませた。




―なんて、答えようか。



この少年には、自分が探していた事など、いや、燈真と取り込もうと話していることすら、お見通しなんじゃないかという錯覚に陥りそうだった。



無論、そんなことはない筈なのだが。