詐欺師の恋


―制服かよ。



下から服装までは確認することができなかったが、中堀空生を真横から見つめて初めて気付く。



上はワイシャツだけ。下は黒のズボン。



長袖を無造作にたくし上げていて、悠々と煙草を吸っている。




その横顔すら、絵になる。



―さて。



俺はポケットをまさぐり、煙草を一本取り出した。



そして、歩き出しながら。




「あぁー、なんだよぉ」




少し大げさに呟いた。




「ライター忘れちったな。なぁ、そこの兄ちゃん。」




足先を男に向けた。




「火、貸してくんねぇ?」




そこまで言って、初めて、中堀空生はちらりと俺を振り返る。




―読めねぇな。この顔。




煙草を口に咥えたまま、ただじっと俺を見ている。


驚いているのか、イラついているのか、わからない。





だが。




「おっ」




直ぐに小さな何かが俺に向かって投げられて、咄嗟に掴んだ手を広げてみると、シルバーのジッポーだった。





ライターじゃなく、ジッポーとか、生意気。




「サンキュ」




思いつつも、礼を言って、口にした煙草の先端に火を着けた。