詐欺師の恋



「あ。」




歩道橋が見える場所まで行くと、ちょうどど真ん中辺りに人影が確認できた。




目を凝らすと、白っぽい髪色をしているのがわかる。




―待て待て、まだわからない。白髪のじじぃかもしれない。



逸る思いを制しても、自然と足取りが速くなる。



脇で混雑している車のテールランプが鬱陶しい。



ちょうど階段に足を掛ける手前で、予想は確信に変わった。




―居た。アイツだ。





探していた中堀空生は、歩道橋の手すりに肘を付いて、ぼんやりと煙草を吸っていた。




―やべ、ちょっと緊張する。



階段を上る際、音をたてるべきか、たてないべきか、一瞬迷う。音がすれば、途端に逃げていってしまうような気がしたからだ。




―別に狩りじゃあるまいし。



結局普通に上ると、タンタンと軽い音がした。



階段から横目で確認しながら、上りきっても。




終始、中堀空生は、無反応だった。



少しもその場から動くことなく、音のする方を振り返ることもなく、下から見た時と同じ体勢で、赤い光で溢れている道路を見つめていた。