詐欺師の恋


外に出ると、夜でもむっとするような空気に纏いつかれる。



クラブで、新参者で、しかも目立って、女に酒ひっかける、なんて。


目を付けられない理由(ワケ)がない。



直ぐに角で5、6人の男たちに囲まれている金髪を発見。



男達は陰になっているが、金髪だけは街灯からの光が、その表情を照らしていた。



相変わらず、何を考えているのかわからない、落ち着き払った表情をしている。




―助けに入った方が良いかな。




そんなことを思案しながら、数メートル離れた所で様子を窺っていると、ふいに風を切るような音がした。



―え。



鈍い衝突音がしたなと思ったら、ちょうど正面にいた男が地面に転がる。




その後は、怒り狂った仲間達が、一斉に金髪を袋叩きにしようとして怒声を上げながら突進していったけれど。



それも空しく、次々となぎ倒され、数分後には全員が一人の手によって、意識を失っていた。





「…強…」




俺は思わず呟いてしまったが、何事もなかったかのように、男は手をパンパンと叩き、その場を立ち去った。






「気に入った。」






そう言って、俺はひとり、笑った。








新月の夜。











それが、アオと俺との、初めての出逢いだった。