詐欺師の恋



一際目立つ、髪と背。



その圧倒的な存在感を放つ男が入って来た時。



自然と人が避けていくので、道が出来る。



それに気付いているのか居ないのか、ポケットに手を突っ込んで、気だるそうに歩いてくる―



プラチナブロンドの男。



口には煙草を咥えて、薄い色素の髪は、めまぐるしく変わる光源の色に次々に染まる。




やや俯き気味のその男が、顔をふと上げた一瞬。



俺と視線が交わった。




…気が、したんだけど。





直ぐに逸らされて、男は俺等からかなり離れた場所、カウンターの端に静かに座った。



どうやら、ただ単に席を確認しただけだったらしい。



「な。」




燈真が短く俺に呟いて、男の方へと歩いていく。



その『何が言いたかったかわかったか』的な満足感ある態度に、俺は渋々頷くしかなかった。




黒いシャツから出る腕も、ダメージジーンズを履いた脚も、モデルのようにすらりと長い。



本人が内心どう思っているかわからないが、その甘いマスクはテレビに出てくる芸能人よりもよっぽど端整だ。



しかし、依然と周囲の様子には関心がないようで。



表情は少しも動かない。