詐欺師の恋

否応なく、今晩の俺の目的を思い出させられた感じだ。



「タカも見たらわかるよー!」



俺達の様子なんてお構いなしの恋する乙女、トキコは、言いながら腕時計に目をやった。




「あ、そろそろ来るわ!」



トキコの声につられて、俺も自分の携帯を出して確認すると、時刻は零時になる所だった。



「なんでわかるの?」



首を傾げると、トキコはうふふと妖艶に笑う。



「決まって、零時に顔を出すから!」



「えっ…」



その言葉を聞いて直ぐに俺は、傍で意味深に笑っている燈真を睨みつけた。


燈真の奴、絶対知ってたのに、わざとだ。



もっと早く聞いてれば、夕方からなんて来なかったのに。





けれど、燈真はそんなの何処吹く風で、更に笑みを深くするばかりだ。



苦々しい気持ちで見つめていると、ふいに燈真が顔を上げた。



同時に、トキコが小さな声で、「来た」と呟いたので、俺も二人の視線を追うように、振り返った。




大音量で掛かっているBGMは変わらないが、人々が少しだけ騒ついているのがわかる。