詐欺師の恋


俺は、初めてトキコと顔を合わせた時のことを脳裏に思い描き、思案する。



遊んでそうな女だった。


恋なんて三度の飯位に思っているような。


だから俺も声を掛けたんだし。


後腐れなくて、面倒臭くなさそうだと踏んでいた。


まして、頬を染めて好きな奴のことを語る、とか、小学生じゃあるまいし。




「へぇ、ヨカッタね。どんな人なの?」




自分へ矛先が向いていないことに安堵しつつも、面白くない。




「タカとはちょっとタイプ違うんだけど。とにかくすーっごい格好良いの!!」




このクラブに、俺より良い男がいる?


んなわけねぇーじゃん。



トキコの熱の籠もった高いテンションを、俺は冷めた気持ちで分析していた。



が。





「それでね!金髪!」



続けて明かされたトキコの意中の相手の容姿に、俺の心臓がぎくりと鳴った。




そこへタイミング良く燈真が、グラスをカウンターに差し出す。



「はい、カンパリオレンジ。」



「あ、ありがとうございますっ!」



反射的に燈真を見上げれば、にやりと笑んでいた。