小さな嵐が去った後のルナには。
怒りの矛先を失った俺と、クツクツと笑う燈真の声だけが残る。
「…ほんと、燈真さ…妹に何教えてんだよ。年上を敬えって言え!そして、赤い髪はお洒落だと教えろ!」
「…いや、鶏(にわとり)…さすが、俺の妹。」
燈真は口元を手の甲で隠しながら、肩を震わせた。
「そこ、感心してる場合じゃねーだろ。」
本当に似た者兄妹だよなぁ、とぼやきながら、俺は時計を確認する。
時間はまだ17時にすらなっていない。
夜は、長い。
俺は、カウンターのいつもの定位置に着席し、まだ誰も居ない店内を見回した。
―空っぽだ。
と思う。
昼間のルナには、何もない。
それはまるで穏やかな眠りについているかのようで。
だが、その内、スタッフが続々と集まり、辺りが闇に包まれると。
ルナは静かに目を覚ます。


