詐欺師の恋


「そう。」




私の返答を聞くと、メリッサが小さく頷いた。




「カノンは、零に好きって言われたこと、ある?」





私はカウンターに転がるティッシュを見つめながら、うーん、と首を捻った。




「……カウント、ダウンの…時…、す、好きかも…しれないとは言われ…ました…」




しゃくりあげながらあの日のことを思い出せば、また熱いものが新たに込み上げてくる。





「え、もしかしてあの時?公衆の面前で?」




それまで休めなかったメリッサの背中を擦る手が止まり、驚いたように訊くので、私はこくりと頷いた。




「へー…あの、零がねぇ…。」




少しの間、メリッサは物思いに耽るように遠くを見つめ、やがて感慨深げに息を吐いた。




そして、体ごと私に向き直った。




「ね、カノン。私があの時、零の奴やってくれたわねって言った事、覚えてる?」




メリッサの真剣な顔に戸惑いながらも、再び私は頷いた。




覚えている。



因みに言うなら、ケイも、どうせ零絡みと言っていた。



お客も零の悪い癖だと言っていた。



メリッサとケイの連携プレーは、見事だった。