詐欺師の恋

零に戻った…ってことは。



ゼロの地点に戻ったってことは。




つまり…。



中堀さんが、詐欺師に戻ったっていう、ことだ。




そこまで考えた所で、へなへなと身体から力が抜けて、濡れているのも構わずに、アパートの階段前の道路に座り込んだ。





―嘘とホントの見分け方、知ってる?







また、頭が混乱してくる。



だって。



中堀さんは、私のこと、騙してたんじゃないの?


やめたっていうのも嘘で、詐欺師は続いてたんじゃないの?







だって、だって、だって。









「…だって、、じゃ、ないか…」






涙が、また、湧き出てくる。



どうして。



自分は、また、こんな所で立ち止まっているんだろう。



いっつも、私は、自分のことしか考えてなくて。



中堀さんに振り向いて欲しくて、突っ走って。



でも、掴むのは空ばかりで。




結局、自分が惨めで。




自分ばかりが、悲劇のヒロインで。




騙されたとわーわー泣いて、自分で作った殻に閉じこもって再び外に出るのを恐れている。







自分だけが、可哀想で仕方なくて。