詐欺師の恋



「ちょ、あのっ、どこにっ?!」




足早にどんどんと進んでいくタカに面食らいながら、私はなんとか訊ねるけど。



抵抗も空(むな)しく、私を引っ張る力の強さに変化はない。





―一体どうしたんだろう。



なんだか、タカの様子がおかしい気がして、私は戸惑いながらも、成す術なんてなく。



タカに連れられるまま、一生懸命小走りに足を動かしていた。





相変わらず雪が降っているけれど、勿論傘なんて持ってない。



水分を多く含んだ雪が、しっとりとコートや髪を濡らす。





少し歩いて広い通りに出ると、タカは立ち止まってタクシーを拾った。





「乗って」



「-え?」



「送ってく。」





目を丸くする私にタカはそう言って、半ば強引にタクシーに乗せた。




タカが運転手に行き先を告げると、車内は直ぐに無言になった。




私は隣に居るタカに目をやるけれど、いつもみたいに笑っておらず、真っ直ぐに前を見る彼に、言葉を失う。




―なんで?機嫌が悪そうなんだけど。。




藤代くんが居る時までは、けらけらと話しかけてきたのに。




考えれば考える程、混乱するばかりで、車窓に視線を移すと。






「…さっきの、一緒に居た奴、誰?」






タカにしては珍しい、静かな声で落とされた質問に、私の心臓がドキリと鳴った。