詐欺師の恋

「どうし…」




「―かなぁ…」



藤代くんが驚いたような声で、何か訊ねようとしたみたいだったけど、私の呟きがそれと重なって、藤代くんは口を噤んだ。



「え?」



そして、小さ過ぎて聞こえなかったのか直ぐに私に耳を傾ける。




「私、愛される価値ないのかなぁ…って」




独り言のように言いながら、涙が溜まって大粒になっては、ボロボロと零れていく。



「!?んなわけないだろ?」



通行人が何人かちらちらとこちらを見ているだろうに、藤代くんは構わず私を抱き締めた。







だって。



いつも、思うの。


居るはずのない運命の人に会う為に。


私、欲張り過ぎたから。


誰かに愛される価値が、なくなっちゃったんじゃないかって。


中堀さんも。



最初から、手が届かない存在だとはわかっていたけど。


夢みたいな時間が続き過ぎて、なんだかもう、手に入ったかのような心地で居た。


実際はそんなわけないのに。




だから、今更。



せめてまっさらな女で居られた頃に、出逢えていたらと。


貴方から、そう見られたかった、なんて思うなんて、馬鹿馬鹿しいけど。