詐欺師の恋

思っていたのに。






初めて飲んだビオワインが、すごく美味しい。



ゆるゆると緊張がほぐれて、ふわふわしてくる。



暖かい色の光が、それに輪を掛ける。




そんな風にして、見事に気分が良くなってきた頃。







「……最近、なんかあった?」






相変わらず他愛のない話をしていた藤代くんが、同じ調子でごく自然に訊ねる。





「…………ん、、ちょっと、ね。」





さすがにぺらぺらと話すことができる程、私の中で整理出来ていない。苦笑いして、曖昧にはぐらかすけど。





「会社でも、ずっと、、目、腫れてる。」




藤代くんはそう言って、テーブルに片肘を付きながら、人差し指で、自分の目を指した。




「・・・!」




濃い、メイクで、隠せていると思っていた私は、動揺して目を見開いた。




「気付くよ。バレバレ。」




藤代くんはそう言って、呆れた顔して優しく笑う。



それを見た私は、なんだか藤代くんに隠すのが、段々馬鹿馬鹿しく感じ始めた。





全部、わかってる、そんな顔をするから。





でも、店を出るまで、私は結局中堀さんとのことは、話さなかった。




頑張った、と思う。