詐欺師の恋

やばい。


私は藤代くんから急いで目を逸らし、窓の外を見た。



―最低、だ。



私、最低な人間だ。




中堀さんが、好き。



その気持ちは少しも変わらない。




けど、叶うこともない。



この先、辛い想いを抱えてずっと一人ぼっち。




3ヵ月後には、結婚相手を祖母に紹介しなければならなくて。



同期の憲子も、裕ちゃんと結婚でもめてて。




思考回路はショート寸前だ。



そんな中で。



藤代くんから言われた言葉があったかくて、心が騒ぐ。



誰にでも捕まる阿呆鳥って言われても、仕方が無い。




そこまで考えた所で。




『アルバトロス』




いつか中堀さんに言われたのを思い出した。



違う。




車窓に光が反射して、情けなく歪んだ自分が写る。




中堀さん。違うよ。



私はそんな格好いいもんじゃ、ないんだよ。どこまでも飛ぶような、強さは持っていないんだよ。




信天翁が私を見たらきっと笑う。お前は阿呆鳥だと。



本当にそうなんだよ。




弱くて、弱くて、寂しくて仕方が無くて、馬鹿で阿呆でどうしようもない、三十路前の女なんだよ。