詐欺師の恋

施設長は、子供たちを安心させるように二言三言話かけ、ドッジボールを続けているように指示を出した。







「藤代、さん、でしたっけ?」




戻ってきた施設長は、子供たちに向けていた笑顔を仕舞い、俺を上から下まで見つめる。




「何の御用かわかりませんけど、できるなら次回からは事務を先に通してもらいたい。ここの子供たちはほとんど大人が怖いんです。」




「すいません…」




なんとなく雰囲気から、そんな感じを受けていたので、俺はすっかり小さくなった。




「それで?用件は何ですか?」



ふぅ、と小さく溜め息を吐いた後で、施設長は腰に手をあて、軽く頭を掻く。




「あの…DJをやっている、、、男の父親がここの施設長をやっているって聞いたんですけど…」




「はぁ?」




俺はここまで来て、初めてあいつの名字を知らないことに気付く。我ながら呆れる。




「レイって呼ばれてたと思うんですけど…ご存知ないですか?」




施設長はうーん、と唸って首を捻る。




「レイ…っていう子、居たかな?女の子なら知ってるけどね。今、何歳位の子?」




「えっと…多分、20代後半位かと…」



「あぁ、じゃ、俺がまだ居ない時だな。もしかしたら、中堀さんが知ってるかもしれない。俺の前だからな。」




施設長はそう言って、植え込みで作業をしていた老人に向かっておーい、と手を振った。