それから、どのくらいの月日が経ったんだっけな。
ただ。
ただ。
やるせなくて。
俺は誰かに八つ当たりたかったのかもしれない。
やけに空っぽで。
やけに空がキレイで。
やけに肌寒くて。
どんなに捜しても。
諸悪の根源のあいつは綺麗さっぱりこの街から消えていて。
途方に暮れた時に。
―『施設長の息子』
ふと、思い出す。
ここから、一番近い児童養護施設はどこだったか。
そして、気付けば。
都会の喧騒から離れた場所に、ひっそり構える、施設の前に立っていた。
「『胡蝶の家』…」
門にかけられた、手作りの木の看板に彫られた文字を読み上げる。
グラウンドには、遊具がいくつか置いてあって、子供たちが無邪気に遊んでいた。
脇にある小さな扉が、きちんと閉まっておらず、キィ…キィ…と小さく悲鳴を上げていた。
そこから俺は中に入る。
―と。


