詐欺師の恋

「うん、わかったから…」




≪やっと、やっと、ね?上手く行ったら好きになってくれるって言ったのに…なのに、あの人、、突然消えちゃった…どこ?どこいっちゃったんだろう…?≫



そんな甘い言葉を囁いて、美咲を利用したのかと思うと、全身の毛が逆立つような気がした。





≪あんなに好きな人、もう居ない。もう、あの人じゃないと私、、≫



美咲はなおも、うわ言のようにひたすら愛を呟く。





≪会いたい、あの人に会いたいっ…≫




最終的に子供のように泣きじゃくりだした美咲を、なんとか宥めようと相槌を打つ。




「わかった、わかったから、みさ…」





瞬間、俺は言いかけた言葉を結局最後まで言えなかった。



美咲の声が消え、代わりにプァーと大きなクラクションが聞こえたと思ったら、プツリと通信が途絶えたからだ。




「美咲!?!?」




ツーツーツー



名前を呼んでも、ただ耳に届くのは、無機質な機械音。




俺の手が力なくぶらさがり、携帯がカチャンと音を立ててアスファルトに落ちた。





寒空の下。




俺はただ、立ち尽くした。





雨が、ぽつりぽつりと、濡らし始めても。