詐欺師の恋


「?!お前、今何処だよ!?」




「彰仁??」




階段を駆け下りると、一階の寝室から起きてきた母親が、不思議そうな顔をして俺を呼ぶが。




「ちょっと出てくる。」




俺は携帯を耳に当てたまま、玄関を飛び出した。




≪あの人が住んでた…マンション…≫



「そこ何処だよ?え?あぁ、わかった。待ってろ、今俺行くからな!!」




昨日の格好のまま、コートだけ羽織るのを忘れてしまったが、寒さを感じない程、俺は夢中で走った。




≪ううん…いい。。私、あの人を捜しに行く・・・≫




「いいから!動くんじゃねぇぞ!?」




よくわからないが、今の美咲の精神状態は普通じゃないはずだ。


下手に動かれると居場所がわからなくなるし、危険だ。


なのに。



≪お兄ちゃん…私、本当に好きだったの。≫




俺の制止に対して何の返事もしないまま、美咲は涙声でぽつりぽつりと話し出す。