詐欺師の恋

―え。




ちらっと人だかる財布の行方に目をやりながら、なるほど、確かに大学に入りたての頃、美咲が新しい友達ととったプリクラを俺の財布に無断で貼っていたのを思い出す。




―そういや、中々剥がれなくて、面倒だからそのままにしてあったんだった。





「おい、どーいうことだよ?!」




シンジ、と呼ばれた男がすごい剣幕で俺に訊くのを見ると、どうも、元カノの今の彼氏じゃないかと勘違いしているらしかった。




「いや、、、その、左の子…妹なんです…」




あまりの短絡的な考えに、半ば呆れかけていた俺は、余計な事はいいから、とっとと金をとって逃がしてくれと願う。




「ふーん…妹、、ねぇ。」




俺にぶつかったリーダー格らしい男は、シンジの手から財布を奪い取ると、ぶつぶつと呟きながら、俺の願い通りに数枚の札を取って財布を地面に叩き付けた。




「おら、とっとと先行ってろ。」



「え・・・」





何の理由もなく、俺を殴れると思っていたらしい仲間たちは、リーダー格の男の言葉に、微かな動揺を見せた。






「何やってんだよ、早くしろよ。」




「…うす。」





もう一度促され、ようやっと男たちはぞろぞろと動きだす。





「…良い事教えてやるよ。」





男たちが数歩先まで行った所で、残ったリーダー格の男は札をポケットにぐしゃりと仕舞いこみ、俺を見た。





「お前の妹、詐欺の片棒担がされてんぞ。」