詐欺師の恋




―数日後。



夜の繁華街。



俺は当ても無く歩き回っていた。




これからクラブに行って、とにかく美咲を連れ戻すか。


それとも、零に直接声を掛けにいくか。




二択で悩み、焦っていた。



もう何が正しくて、何が間違いなのか、わからなかった。





そのせいか。




前方から誰かがこちらに向かってきたことにも気付かない程に、ぼけっとしていた。





「ってぇな!!」




突然、肩に走った衝撃と、怒鳴り声に、やっと俺は顔を上げる。






―うわ、やべ。





明らかに柄の悪そうな連中を引き連れた男が、目の前で俺にガン垂れている。




「す、すいません…」



「すいませんじゃぁ、すまねーだろぉー?!これで骨折れてたらどうしてくれんだよ?!」




あっという間に俺は、10人程の男たちに取り囲まれてしまった。




「いくら持ってんの?」



多勢に無勢だ。



勝ち目は無い。



俺は憤りを感じつつも、ぐっと唇を噛み締め財布を取り出した。




瞬間に、それを奪い取られる。




―くそ、マジでロクなことねぇな、ここ。




先日のこともあり、げんなりした気持ちで居ると。





「あれ?コレ、シンジの元カノとそのダチじゃねぇ?」



「うわ、まじだ。」





俺にぶつかった男の取り巻きが、驚いたように声を上げた。