詐欺師の恋










その後の記憶は、ゴミ溜めの中、目を覚ますまで、ない。



空は白けてきたばかり。



頭が、鈍器で殴られたようにガンガンして、尋常じゃない吐き気に、汚い話だが、その場で戻した。



眩暈のように世界が回っていて、起き上がることすら難しく、手に何か握らされていることに気付いたのも、少ししてからだった。





「-やられた。」




自分の手にあったものは、酒瓶で、『SPIRYTUS(スピリタス)』と書いてある。


こんな酒をストレートで飲まされたんじゃ、こうなるわけだ。




浅はかだった。





「ちくしょう…」




一体俺はどうしたらいいんだよ。



腹いせに、手にした瓶を壁に叩きつけたが、力が入っていないせいで上手くはじけることなく、無様に転がった。




美咲が。



美咲じゃなくなる。




俺が。


守ってやらないと。



だって、俺は、あいつの兄貴だから。




だけど、俺は。



守り方を知らない。




行くなと言っても、行くあいつに、俺は何をしてやれるんだろう。