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「あれ、誰かと思ったら。美咲ちゃんのおにーさんじゃん。」
キャップを深く被って、カウンターのスツールに腰掛けると、赤頭、もといタカという男が、驚いたようにこちらを見た。
「残念だけど、今日は美咲ちゃんも零も居ないよ?」
くるりと椅子を回転させると、身体を俺に向ける。
酔いつぶれたのだろうか、タカの隣には、カウンターに突っ伏している女の姿があった。
「―今日は、あんたに訊きたいことがあってきたんだ。」
そう言って、タカの顔を真っ直ぐ見つめると、茶化すように奴は笑う。
「えぇー?何々、超こわぁ。大丈夫だって。美咲ちゃんは零一筋だから、俺にはなびかないし。」
構う事無く俺は低い声で短く訊ねた。
「レイって男。DJ以外に何やってますか?」
タカの前に置かれたグラスの中の氷が、カランと回る音がする。
相変わらず笑ったままではいるが、タカの顔つきが一瞬固くなったのを俺は見逃さなかった。
「あいつ、何者ですか。」
レイもタカも、俺より年上なのは見ればわかる。
だから、この場に足を踏み入れることが、怖くなかった


