それから暫く経った頃。
ピンポーン
部屋のベットに寝転がって小説を読んでいると、家のインターホンが鳴った。
2階だから下りるのが億劫で、誰かでないかと様子を伺っていたが、ちょうど皆出払っているらしい。
ピンポーン
「はぁ…」
催促するような二度目のチャイムに、俺は仕方なく受話器を取った。
「はい…」
≪あ、えっと、藤代さん、あの、藤代美咲さんのお宅ですよね?≫
上擦ったような女の声に、俺の眉間に皺が寄る。
「そうですが?」
≪あの、えっと、、美咲さんの叔父さんっていらっしゃいます?≫
「はぁ?」
≪その!叔父さんに一目ぼれしたんですぅ!それでっお菓子をっ!!≫
「…少し、お待ちいただけますか…?」
やっとのことでそれだけ言うと、俺は受話器を置いた。
―どういうこと?
叔父、という単語に俺の頭は長野まで吹っ飛ぶ。
確かに叔父は居るには居るが、もう50を過ぎている。
一目ぼれ、って…ありか?ありなのか?
あの、つるっぱげのオヤジに?
腑に落ちないまま、俺は玄関に向かった。


