詐欺師の恋

「一目惚れ、だったの。」



美咲が苦しそうに呟いた言葉に、俺は我に返る。



「どうしても、繋がりが欲しくて、立ち去ろうとするのを引き止めて、『どこに行くんですか』って訊いた。あの人は私達のことなんかお構いなしにさっさと歩いて行っちゃったんだけど、タカは『ルナだよ』って教えてくれて。」



―『Notte di Lunaで、こいつはDJやってるよ。でも、今だけ、だから。早くこないとその内また居なくなっちゃうよ』




その言葉に美咲は軽い焦りを感じたと言う。




「何処へいくのかは知らないけど、そんなに長く居ないような言い方だったから、それまでに振り向かせなくちゃって。」




それから、美咲はクラブに繰り返し通うようになったらしい。




「でも、大学辞めなくても…」



「…何にも、手に付かなくなったの。。」




俺の言葉に、美咲の顔は辛そうに歪む。




「あの人が居ないなら、何も意味がないような気がして―」



俺は耳を疑った。





「!!美咲!目覚ませよ!?あんな奴、美咲の手に負えるわけがない。」




「-わかってる。」




「?!」



やけに悟りきったような声で、美咲は切なげに笑んだ。