詐欺師の恋


「サークルの後で、結構夜遅い時間だったんだけど…道端にちょっと柄の悪い人たちが居て…その中の一人が実は…友達の元彼だったの…」



そこまで聞けば、なんとなく予想は出来る。



「で。あんまり良い別れ方じゃなかったみたいで、お酒も飲んでたみたいだし、絡まれちゃって、、無理やりどこか連れて行かれそうになって…」




裏切ることなく、美咲は俺の想像通りの展開を話した。




「そしたら、ちょうど、そこを通りがかったあの人と、、、タカが…あ、えっとタカっていうのは、さっきの赤い髪の人、だけど…その二人が通りがかって―」






―『お前等、まだそんなことやってんの?』





レイという男がグループのリーダー格にそう言った、と美咲は言う。




「そしたら、『お前帰って来たのか』って、言った後、その人驚いた顔してたんだけど、直ぐに舌打ちしていなくなったの。」





つまりは。




助けてもらったということらしい。




「あの人は、私達のことなんて眼中になかったみたいなんだけど…なんか、すごく格好良くって…」




美咲の目がキラキラと輝き、恋する乙女そのものになっているのを横目に。




―厄介なヒーローだ。



俺は頭を抱えた。




助ける気もないのに。


ただの気紛れなのに。



美咲を虜にしてしまった。




それも、たった一言で。