詐欺師の恋

美咲の肩が小さく震えた。



「大学辞めたの、いつ?」



同じ質問を繰り返すと、美咲はぴたりと立ち止まって、上目遣いにこちらを見た。




そして、おずおずと答える。





「……冬休み、前。。」




―辞めて、三ヶ月、か。


俺は小さく舌打ちして、ふーと息を吐いた。




「なんで。先生になるんじゃなかったの。」




美咲の幼い頃からの夢は、家族なら皆知っている。



けれど、当の本人は小さく頷くだけで、何も言おうとしない。




「クラブ通いなんて、柄じゃないじゃん。こーいうとこ、嫌いかと思ってたけど。」




少しの嫌味をのせて言えば、俯いている美咲の耳がカッと赤くなったのが夜目にもわかった。




「違うの…、あの、、人に会えるから…来てるだけ、なの。」




「?だって、クラブで会ったんじゃないの?」




目を見開く俺に、美咲はふるふると首を振る。




こんなに寒い夜。


繁華街のど真ん中で、立ち尽くしている俺等は、道行く人の目に、どんな風に映っているだろう。


別れ話をするカップルだろうか。




「大学でできた友達の地元がここの近くで…こっちに良いお店があるって連れて来てもらったことがあって。」




ぽつり、ぽつりと美咲が話し出す。