詐欺師の恋

しょぼくれる私に、憲子がジトッとした目で言った。




「え…」




「忘れてるみたいだから、教えてあげるけど。半年以内に結婚相手をおばあちゃんに紹介しなくちゃいけないんでしょう?うだうだ考えて落ち込んでる場合じゃないんじゃない?」





カシャンと音をたてて、箸が座敷に転がる。





「そ、、そうだった…」








今は、何月。




もうすぐ、3月。






と、いうことは、タイムリミットもあと3ヶ月。




このままでは、祖母の決めた人とお見合いになってしまう。



そんなのは絶対に嫌だ。




だけど、暫くは誰かを好きになれる自信がない。







「影武者立てるにしたって、急いだ方が良いわよ」







さっきまで暗いモードだった憲子が、鬼に見える。




切り替えの早さ、素晴らしい。見倣わなくちゃ。




「う、うん…」





とりあえず返事はしてみたものの、どうしよう。





頭の中に台風が発生したかのごとく、考えなくてはいけないことがごちゃまぜになっている。






その中で。




ひとつ、はっきりと思うことは。








いつか。




貴方のことを忘れて。



記憶も薄くなっていって。





違う誰かを好きになる日が、くるんだろうか。





そんな日が、くるんだろうか。





貴方は、思い出に、なってしまうんだろうか。








そう考えるだけで。



胸を掻きむしりたくなるほど、苦しいよ。