詐欺師の恋

悪循環。


中堀さんと最後に会ってから。



私は同じ事を何度も繰り返し考えて、行き着く所はいつも同じ。



あの時、こうしてたら、良かったのに。と。




苦しくて、息を吸う事すら、しんどい。





俯いて握った手を見つめる私に、憲子はふぅ、と小さく溜め息を吐いて向き直る。




「あのね…花音…。こんな事言うの、不謹慎かもしれないんだけどさ…、私はこうなって良かったのかもしれないって、思う部分があるんだよね」





弾かれたように、顔を上げるけど、声が出なかった。



どうして?と問いたいけど、できない。





「あの人…花音の手に負えるような人じゃないよ。」






黙り込むことしか、できない。





そんなことは百も承知だった。



憲子も実際には、中堀さんとの事を反対していたのだ。




私のシナリオだって、中堀さんに振られるのがオチになっていた。





けど。



だけど。




自分の描いた展開ではない、ふわふわした出来事が。




沢山、あったから。






だから、勘違いしてしまった。




私のシナリオは、ハッピーエンドになるのではないか、と。