詐欺師の恋



連絡が取れなくなって。



直ぐにでも会いに行きたかったけど、会社が決算期でそれどころじゃなくなってしまって、土曜も日曜もなくなって毎日クタクタになるまで働いた。



もしかしたら、あの家に一人で帰れないのかも。


熱出して寝込んでるのかも。




ごめんね、ごめんねと思いながら、何度も繋がりますようにと願って携帯を鳴らした。



一ヶ月空いた期間は、戻ってはくれない。




なんだか、色々が重なって、とても大事なものを取り逃してしまったような虚無感に襲われる。




中堀さんの言った事が本当なら、そんなこと、ないんだけど。




別れを告げられてから、一週間は経つのに。





涙が枯れてくれない。





働かないと生きていけないから、仕方なく会社には出てくる。





けど。





季節は春になろうとしているのに。





私だけ、冬に逆戻りしたみたいに、寒い。






「花音…」




泣きじゃくる私に、憲子は何度でも背中をさすってくれた。