詐欺師の恋

更衣室の外に出た瞬間、憲子がじろっと私を見る。




「…それじゃ、今までと何も変わらないじゃない。」




「全然違うよ!私を見てくれるようになったもん!」




全然、違うもん。



私は頬を軽く膨らませて抗議する。




「このっ」



「いっ!」



そんな私の頬を憲子が引っ張った。





「やっぱり私は、今まで都合良く女を騙してきた男をどうしてそんなに信頼できるかわからないよ。たかだが二週間やそこらで人間変わるわけが無い。しかもそんなひねくれた奴!」





「いひゃい…」





「いい?花音。もうね、この年で恋愛するとしたら、高校生の時みたいに感情だけで動けばいいわけじゃないの。そんな時間掛けてられないでしょ。駄目なら駄目でさっさと次行かないと!」





言い切ったと同時に頬が解放される。




「…でも…」




軽く涙目になった私は、ひりひりと痛む頬をさすりながら、腰に手を当てて鼻息荒くしている憲子を見た。




「…まだ、放したくない」




昨夜うつらうつらしながら考えた。



私は中堀さんと一体どういう関係なんだろう。



今までは利用する側とされる側。(私自身かなり彼には迷惑を掛けているので利用されたとはっきり言い切れないけれど)