詐欺師の恋







「お疲れー!」




早朝。


少し居残りしてたスタッフたちも帰って行く。




「お疲れ」




裏口の脇に立って、それぞれに軽く声を掛けながら、水の入ったペットボトルに、口を付けた。




「あ、零。鍵、預けていいの?」



「ん、いいよ。」





言いながら、ケイが放り投げた鍵を受け取る。



ここの所ずっと俺が最後の戸締りをしていく。




と、いっても、寝泊りもしているから、戸締りも何もないんだけど。




いい加減、住む場所も、あの家も、どうにかしなくちゃならないと思うけど、億劫で、前に進むことが嫌で、そのままになっていた。






「じゃ、お先ー」


「おー」




ケイが帰ると、静けさが辺りを包んだ。




「疲れたな―」




一人言ちて、スタッフルームに向かおうと踵を返す。





が。






ダダダダダダ!!




ガチャ!!





「零!!!!!」




ものの数秒で賑やか野郎が舞い戻る。






「なんだよ、うるせーな…」






振り返れば、裏口のドアの前に息を切らして立つケイ。





その横に―。





「お、、おはようございます…」





柔らかい長い髪を、緊張した面持ちで耳に掛ける―




櫻田、花音が居た。