詐欺師の恋

そうだよ。


昔っからだ。





「俺はさ、受け入れるだけ。何かを欲しい、なんて思う資格ないんだよ。」





そうやって、生きてきたから。






「本当に大事なものは、壊したら駄目だろ?」






アンタもそうだったよな。


俺に近づけば近づくほど、周りが敵になって、悪く言われて。


報われないまま、死んだ。






「俺が居ると、、、壊れんだ。」






母親も。







俺さえ居なかったら、良かったのかな。






もっと、幸せだったのかな。






「空生…」



「俺はさ、」







折角火を着けたが、吸う気の失せた煙草を見つめる。






「大事な人間を傍に置いたらいけないんだよ。」





そう言って、地面に落とした煙草を踏みつけて、崇に背を向けた。





「そんなわけ…ないだろ?」




崇の声が、怒りのせいか、それとも悲しんでいるのか、震えている。




「それで、、、いいのかよ?」




答えることなく、歩きだすと、崇が呼び止める。




「おいっ」




いつかも。



こんなことがあったっけ。



あの人が死んだ後。



この街に戻ってきた頃。