詐欺師の恋

「…んなわけないじゃん」




「っ、お前だって惹かれてただろ!!!俺が気付かないとでも思ったか?」






必死の形相で俺を責めるように問う崇の目が濡れている。





「…うるせーな。いちいち面倒臭ぇ。女なんて、皆同じだって。」





ガッ。


煙草が、地面に落ちる。






「ってぇーな…」






倒れこそしなかったものの、頬を殴られた衝撃と、血の味が口に広がった。






「何があったんだよ!?」






肩をわなわなと震わせて、崇が叫ぶ。






「…何もねーよ。何熱くなってるんだよ、うぜぇな」





崇の真っ直ぐな視線を避けて、溜まった血を吐き、切れた口の端を拭った。





「っ、、、、、お前だからっ…お前だから、譲ったんだぞ?!」






「…そんなの知らないね。ったく、あーあ。」






吸いかけの煙草を拾い上げて、わざと残念がって見せた。





「なんで、、自分に正直になんねーんだよ…」





余りに悔しげに、崇が呟くから。





「……昔っからだよ」





消えてしまった炎を、再び灯しながら、思わず本音が漏れた。




自分は、平気だと、何度も心の中で言い聞かせながら。