詐欺師の恋

「手を、切ったろ。俺は、良かったなと思った。だけど、ほら。お前も知ってると思うけど、俺はロクでもない人間だからさ。これからも燈真とつるんでいく。だから、、俺のことも、忘れた方が良いと思ってさ。」







崇が情に厚い人間だということは良く知っている。




だけど、へらっと笑う崇の顔は腹が立つ。








「なんだよ、それ。余計なお世話だよ。」







呆れたように笑うと、崇は真顔になった。






「花音ちゃんのことをもしも受け入れるつもりなら、そうした方がいい。」






真剣な顔をして言う崇に、ずしりと重たいものが、胸につかえた気がした。





なんだ、これ。




息が、吸いにくい。




こういうのを、胸が痛いって、言うんだろうか。





「……無理だよ。」





気付けば、弱音が口を付いて出ていた。





「―え?」





今度は俺から、目を逸らす。





出したくも無いのに、深い溜め息が口から漏れる。






「……俺にはさ、誰かと一緒に生きるなんて、性に合わないんだよ」






「何言って…」





「燈真とだって手を切ったわけじゃない。仕事を請けなくなったってだけ。ルナにだって普通に顔出すよ。今はただの気紛れ。」







溜め息は、直ぐに乾いた笑いに変わる。





そうだよ。



似合わない。





「冗談だろ?だって、花音ちゃんは空生を追いかけてった筈だぜ?会ってるんだろ?」






俺の周りは御人好しばっかで、困るな。