詐欺師の恋


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何故か無意識に向かった場所は、あの歩道橋で。




車を端に停めて、さっき吸えなかった煙草を口に咥える。






「あ、、、」






誰かが階段を上ってきたな、と思ったら、驚いた声がして、振り返ると崇だった。


俺のことを見るなり、あからさまに焦った顔をして、やべぇと呟く。





「崇…」




「おっ、俺、急ぐから!!」





急いで通り過ぎようとした崇の腕をがしっと掴んだ。





「ひっ」




「俺、は、話があるんだけど?」





「・・・・」





崇は返事こそしなかったが、観念したように溜め息を吐いた。







灰色の煙が、何もない空に浮かび上がっていく。




眼下の道路はまだ混雑していて、たまにクラクションが響いた。



「なんで、電話とらねーんだよ。」





引越してからというもの、崇との連絡がどうしても取れない。




何かをした覚えもないし、避けられる理由もないと思っていた。





「………」




なのに崇は難しい顔をしたまま、地面をじっと睨んでいる。





「答えろって」




煙草の灰をトントンと、指で叩いて落とす。







「………まと…」





「は?」





崇が何か呟いたが、道路を走る車の音でよく聞こえなかった。





「燈、真と…」




そこまで言うと、崇は俺と視線を合わせた。