花音のアパートの下に着いたのは20時半で、連絡がまだないのを確認すると、車を停めた。
言われたとおり、ポストを開けるが、鍵がない。
「帰ってるのか?…いや、忘れたか?」
あり得る。
苦笑しながら、カン、カン、と無機質な音をたて、階段を上る。
煙草でも吸いながら、暫くは外で待とうか、と考え、口に煙草を咥えた。
―やっぱり、遠いな。
物理的な距離の遠さ。
自分の中でのふんぎりをつける為だったとは言え、今となってはそれがもどかしい。
電話した、あの夜。
いつもなら、直ぐに嬉しそうな声で出る筈なのに、あの日に限って、長いコール音が続いて、その後、留守電になった。
留守電に声を吹き込むのが苦手な俺は、仕方なくあまり好きじゃないメールを打った。
後から考えてみて、あの夜花音が電話に出なくて良かったと思った。
どうしても電話が欲しかった理由をもし訊ねられても。
言える訳が無い。
ただ、どうしようもなく、声が聴きたかった、なんて。
言われたとおり、ポストを開けるが、鍵がない。
「帰ってるのか?…いや、忘れたか?」
あり得る。
苦笑しながら、カン、カン、と無機質な音をたて、階段を上る。
煙草でも吸いながら、暫くは外で待とうか、と考え、口に煙草を咥えた。
―やっぱり、遠いな。
物理的な距離の遠さ。
自分の中でのふんぎりをつける為だったとは言え、今となってはそれがもどかしい。
電話した、あの夜。
いつもなら、直ぐに嬉しそうな声で出る筈なのに、あの日に限って、長いコール音が続いて、その後、留守電になった。
留守電に声を吹き込むのが苦手な俺は、仕方なくあまり好きじゃないメールを打った。
後から考えてみて、あの夜花音が電話に出なくて良かったと思った。
どうしても電話が欲しかった理由をもし訊ねられても。
言える訳が無い。
ただ、どうしようもなく、声が聴きたかった、なんて。


