女に、贈り物をするのは初めてじゃない。




詐欺師の仕事に、それは必要不可欠なことだからだ。




ハイリスク、ハイリターン。



鞄やアクセサリー、女がきらきらしたものを好むのは、恐らく自分を飾るためだ。



安っぽいメロドラマに小道具は要り様だから。





だけど。




ネックレスは、絶対に選ばなかった。




どうしてか。



どうしてだろう。



自分でもわからなかったけど。






今回、彼女にあげようとしたことで、気がついた。









首元に光るそれが。







自分のものだ、という印付けなような気がしたからだ。







つまり。




彼女に関して、俺はそう思っていることになる。





―自分で思ってるより、もしかしたらずっと独占欲が強いのかもしれないな。




今までに無い、自分の感情を完璧持て余している。





夜の高速を走り抜けながら、首を振った。




この感情が『好き』だとか『愛している』とかいうモノとは違うとしても。



彼女を手放したくないと、どこかで願ってる自分に、半ば呆れて。